生キャラメル
92年に田中氏が牛1頭から始めた花畑牧場。 商品の「生キャラメル」のヒットにより、04年3月期に約4億円だった売上高は、 09年3月期には約143億円にまで急成長した。 雑誌やテレビに田中氏が広告塔として積極的に登場し話題を集めることで、 5年で35倍の売上増という驚異的な成長をはたした。 当初は生キャラメルが1人5個までしか購入できなかったために、 08年7月にはあまりの人気に同商品をめぐり恐喝事件も発生したほどだった。 しかしブームにはいずれ終わりが訪れるもの。 すでに新千歳空港の土産店などでは以前ほどの行列は見られないという。 気になるのは現在も花畑牧場は多角化を進め、 次々と店舗を開店させていることだ。 同社は東京だけでも銀座や青山など 5店舗の「花畑牧場カフェ」をオープンさせている。 マーケティングの専門家は「直営店を急激に増やしすぎると ブランド価値を希釈させかねない」と警鐘を鳴らすが、 飲食店も含めると同社の直営店は全国に25店舗まで増加している。
急拡大した経営とブームの衰えのギャップが生み出したものが 冒頭で触れた派遣切りだったのだろうか。 「こんな時代だからこそ雇用創出に貢献したい」と、 かつて雑誌のインタビューで意気込んでいた田中氏だったが、 本人の理想とは裏腹に、約1年前に稼動したばかりの札幌工場は閉鎖へ追い込まれ、 失業者を生み出してしまった。
派遣切りにあった従業員300人はどうなってしまうのか。 牧場主の田中氏はホームページの経営理念に 「つくる人を幸せにする。つくる人が幸せじゃないと本当においしい商品はつくれません」と 謳っているが・・・。